令和7年11月19日(水)に開催された「難病従事者等研修会(在宅医療支援者研修会)」において、当院の訪問セラピスト(理学療法士)が事例報告を行いました。

本研修会は、地域の行政職員や専門職が集まり災害時支援について深く考えることを目的とし、福岡県宗像・遠賀保健福祉環境事務所の主催で開催されました。

当院は、東郷外科ケアプランサービス様と共同で登壇し、「個別避難計画作成と訓練の実際」について報告しました。この報告は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の在宅患者様をモデルに、医療機器を使用しながら、実際に総勢15名の多職種が参加して行った合同避難訓練の内容を共有するものです。

合同避難訓練では、単に計画書を作るだけでなく、「いざという時、本当に命を守れるのか」という視点を大切にし、人工呼吸器などの機器を使用する患者様の移乗介助や、停電時の給電作業といった、生命維持に直結する具体的な行動について実践を行いました。

実践から見えた課題と、大切にしたいこと

訓練を通じて浮き彫りになったのは、計画と実践の間に存在するギャップです。医療機器の取り扱い、迅速な移乗の難しさ、そして福祉避難所の受け入れ体制など、現場でしか気づけない多くの課題が見つかりました。

この結果を踏まえ「患者様お一人おひとりの課題を明らかにし、それを解消していくことが、地域全体の防災力を高めることに繋がる」こと、そのためには、医療・介護の専門職はもちろん、行政や消防、そして患者様ご家族が、それぞれの役割を認識し、平時から顔の見える関係を築くことが不可欠であることをお伝えしました。

地域社会とともに、安心できる体制づくりへ

難病を抱える方々が、住み慣れた地域で「安心」して療養生活を送れるよう、日常の医療提供とともに、災害時にも揺るがない「実効性のある支援体制」の構築が大切です。

当院はこれからも地域の関係機関との連携を強化してまいります。