法人設立の想い

2012 年に岩野歩医師が開業したコールメディカルクリニック福岡は、これまで宗像市、福津市、岡垣町の地域医療を支えてきました。これからも地域からの期待や要望に応え続けていくために、今回の法人設立に至りました。

医療法人社団やまとは 2013 年の開設以降、東北、関東、四国で在宅医療を中心に行う診療所を 10 ヵ所運営しているほか、やまと地域医療グループとして一般財団法人やまとコミュニティホスピタルを運営しており、コールメディカル福岡は九州地方で初の拠点となります。

運営業務を担うスタッフやノウハウをグループで共有し、医療者が診療実務により一層集中して取り組む環境を整えることで、数百年先も地域に必要とされ「生きるに寄り添う」医療の継続を目指します。

医療法人やまとコールメディカル福岡では理事⾧を岩野歩、理事をやまとの医師らが務め、医師の循環だけにとどまることなく、組織運営においても人材を循環する取り組みをスタートします。

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岩野歩理事⾧メッセージ

2012 年にコールメディカルクリニック福岡を開業し、12 年が経過しました。全国的に少子高齢化が加速するなか、私どもが診療所を構える福岡県でも在宅医療に対する関心やニーズが高まる一方です。そのような地域のニーズに応えるには、診療実務と運営業務の分離が必要でした。

この業界は「ひと」が宝です。その宝を永きに渡り大切にしていかねばなりません。多忙となる一方の診療実務の片手間では、その宝を大切にすることは困難でした。人事や労務、リクルートをその道のプロが行うからこそ、医療専門職は診療にさらに集中できる。宝を育て、守ることができる。そう思い至りました。

やまととの提携は、我々が掲げている「24 時間 365 日、数百年後も生きるに寄り添うチームになる」という理念の実現を真摯に目指した答えです。事業の継続性の担保が、提携の大きな目的のひとつでした。私たちは必ず年を取り、いつか必ず死を迎えます。

突然ということもあるでしょう。関わってきた多くの患者さんから学んだことでもあるはずですが、果たしてどれほどの医療者が実感を持っているのでしょう。地域医療はインフラです。自分が引退したらなくなるかもしれないような事業展開は、やがて地域に大きな混乱をもたらすかもしれません。地域医療の実践者は事業継続性にもっと真摯であるべきと、自らの反省も込めて敢えてここに記します。「私だけで」ではなく「チームで」患者に寄り添う。そのやまとの理念が、数十年、数百年後でも地域医療を提供し続けることのできる組織への道しるべだと考えます。

今後、日本のほとんどの地域では、人口減少社会を迎えます。離島・へき地はいち早くこの問題に直面しており、この課題先進地域で医療を守るノウハウを築くことが、数十年後、数百年後の日本の医療を救う道になると考えます。今、離島・へき地を救えなければ、数十年後には自分たちの地域ですら救えなくなるのです。やまとが実践している、医師が潤沢な地域から不足している地域に医師を循環させ医療を届ける「やまとプロジェクト」は、現在我々が行っている離島(鹿児島県甑島)応援診療事業と全く同じ発想であり「どうせやるなら一緒にやろう!」と強く感じました。これまで地域医療は、地域限定のものだと考えていました。

しかし、人口減少社会においては地域医療だからこそ全国展開で行うべき時代になっていくであろうと考えています。

日本ではいろいろな場所で、いろいろなひとが、いろいろな素晴らしい活動をしています。しかし、バラバラに行うがためにノウハウは広がらず、受け継がれず、いつか必ず訪れるその人の老いや死によって失われてしまうことすらあります。日本にとって大きな損失であり、このままにしておくわけにはいきません。コールメディカルクリニック福岡は、診療実績・在宅医育成・経営面において、九州でも有数なクリニックのひとつであると自負しております。今回の提携を「岩野は体調が悪いのか?」「もったいない」などと周囲からささやかれることもありますが、岩野は超バリバリ元気です。

「このまま単独でやるほうがもったいない!」という思いで数百年先を見据え、地域医療を提供できる組織構築のプロセスのモデルとして、今回の提携を日本全国に向けて発信していく所存です。

 

田上 佑輔理事/医療法人社団やまと理事⾧メッセージ

診療所も病院も、これからの地域医療をひとつの施設で継続していくのは大変です。私も医師が少ない宮城県登米市で地域医療を始めてその課題を実感し続け、地方で孤立しないよう都市部との循環に加え、複数の医療機関がチームとなるプラットフォームを考えてきました。

コールメディカル福岡の岩野先生も同じような考えを持っており、今回の提携が実現しました。医療業界では”連携”や”提携”という言葉がよく使われますが、一般業界ほどの柔軟性がない中で、その効果を最大限に生かすことができずに終わってしまう事例も目にします。今回の提携の形が、今後の地域医療の参考例になることを願っています。

 

本件に関する取材のお問い合わせ

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